浄土宗のみ教えについて

過去・現在・未来と私達の命は続く

佛教では、私達の命は過去現在未来と三世にわたって続き、六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)という苦しみの世界を輪廻し続けている存在だと捉えます。何故輪廻し続けるのかと申しますと、私達は煩悩という苦しみの原因を備えており、煩悩あるがゆえに口・身・心に様々な悪い行いをして、その結果として来世も苦しみの連鎖から逃れる事が出来ない存在だと考えるのです。

佛教では、煩悩を滅して悪い行いをせずに悟りを得よ・成佛せよと勧めます。しかし、少しの煩悩を抑える事さえも難しい私達が、この世で煩悩を滅して成佛することは不可能です。

科学技術が発達した現代でも、諸行無常の理どおり、命あるものは死を一人ひとりが必ず迎えなければなりませんし、形あるものは必ず滅んでいきます。この世は決して極楽のような苦しみ悩みのない世界ではありません。煩悩に責められ、老・病・死に苦しみ恐れながらしか生きる事の出来ない世界です。

生きるために悪業を犯さざるを得ない罪深い私達、欲望をあおりお互いが奪い騙しあって現代に生きる私達が、死を迎えた先にあるのはさらなる苦しみの世界であるとお釈迦様は教えておられます。

私達が苦しみから逃れる道はあるのでしょうか?

私達はこれから先も、苦しみの世に生きていかなければならないのでしょうか?救われる道はないのでしょうか?煩悩にまみれた私達でも救われる道があるとお示しくださったのが法然上人です。

自分の罪深さ、決してこの世で成佛できない身であることを自覚し反省して、心から苦しみの世からの解脱・来世の救済を願って、口に「南無阿弥陀佛」心に「苦しみからお助け下さい阿弥陀様」と願ってお念佛をお唱えすれば、誰でも必ず極楽に救って頂けるのが、法然上人のお念佛のみ教えです。

この世で苦しむ私達一人ひとりを慈しみの目で見て悲しんでおられる阿弥陀佛。阿弥陀佛は、六道輪廻する私達を救うために、西方に極楽浄土を建立されました。そして、「南無阿弥陀佛」と自分の名を呼び助けを求めるものを、臨終の時には自ら迎えにきて導き極楽浄土に往生させると誓って下さいました。極楽は苦しみ悩みのない浄土で、煩悩にまみれた罪深い私たちがこの身のままで往生して成佛できる世界です。

浄土宗のお念佛の生活

儲かればよい、自分や家族だけ良ければよい、見つからなければ何をしても良いと、欲望を煽る現代の風潮。煩悩はほっておけば益々増して、この世を人々を悪い方向へと引っ張っていきます。

極楽往生を願って毎日お念佛をお唱えし、煩悩まみれの生活を改めて少しでも良い行いを心がける。もし悪い心が起こったり・悪い行いをしても、心から悪かったと反省して南無阿弥陀佛とお唱えし、次はもうしないように心掛けるお念佛生活。これこそが浄土宗のみ教え・念佛行者のこの世の生き方です。